家計が苦しい、なかなか貯蓄できないと悩むご家庭は少なくないでしょう。家計が苦しいと感じる理由としては、必ず出ていく支出に対してそもそもの収入が少なすぎる、もしくは、決まって入ってくる収入に対して、支出の額が多すぎるという場合のいずれかが考えられます。収入が足りない場合は、収入を増やす方法を考えなければいけませんし、逆に支出が多すぎるのであれば、節約できる部分を見つけだし、調整するように努めなければいけません。
ここで一般的な家庭の支出について考えてみることにしましょう。夫婦共に30代で、子どもが2人いる世帯がファイナンシャル・プランナーに相談をし、家計診断を受けたと仮定します。
この世帯の子どもの年齢は1歳と4歳。収入は366,000円です。支出の内訳は、「食費:62,500円」「住居費:16,000円」「光熱・水道費:21,000円」「家具・家事用品:10,000円」「被服・履物:7,200円」「保健医療:15,000円」「交通・通信費:24,000円」「教育娯楽費:26,000円」「その他:60,000円」となりました。さて、この世帯の家計は赤字でしょうか?黒字でしょうか?
食費 | ¥62,500 |
---|---|
住居費 | ¥16,000 |
光熱・水道費 | ¥21,000 |
家具・家事用品 | ¥10,000 |
被服・履物 | ¥7,200 |
保健医療 | ¥15,000 |
交通・通信費 | ¥24,000 |
教育娯楽費 | ¥26,000 |
その他 | ¥60,000 |
この内容を持ってファイナンシャル・プランナーに相談をし、家計診断を受けると、ファイナンシャル・プランナーは、まず支出の総額を計算します。この家計診断を受けた相談世帯の支出は241,700円となりますから、収入の366,000円から支出の241,700円を引くと124,300円と黒字であることがわかり、家計簿上は特に問題がないように判断されます。 しかし、この金額を見て安心するのは早すぎます。実際に家計診断を受ける世帯の場合、これほど大幅な黒字家計を持って相談に来ることは珍しいからです。一般的に家計診断を必要とし相談しに訪れるのは、貯蓄に回す余裕がないまたは、赤字を抱えているケースがほとんどと言えます。この家計診断を受けた世帯の場合、現時点では余裕があり貯蓄もできるため、この家計の中に大きな問題があるとは考えないでしょう。
しかし、実際の収支だけで問題がないと判断するのはよくありません。この家計の支出の内訳をよく見てみてください。この相談世帯の場合、住居費が16,000円と極端に少ないことが気になりませんか?住宅ローンもなく、家賃としても極端に額が小さいことから社宅に住んでいる可能性が考えられます。社宅の場合、住める期間が限られていることが多いため、いずれ家を借りる、または購入することを想定しておく必要があります。そうなると、今回の家計診断で貯蓄に回せるとして出された金額すべてが家賃やローンの返済に回ってしまう可能性があります。
また、子どもが小さいにもかかわらず、食費の額が大きいのも気になるポイントです。今後、子どもが大きくなるにつれ、それぞれの項目の出費が増え、新たな支出項目も加わると、家計を圧迫することも考えられます。このように家計診断のプロに相談すれば、見落としがちな支出の問題点に気づき、現時点だけでなく今後を見据えたアドバイスを受けることができるのです。