20代のサラリーマンやOLの場合、まだ独身の方も多いことから、家計についてファイナンシャル・プランナーに相談をする人はあまり多くないのでは?と思われるかもしれません。しかし、独身者でも家計の相談に訪れる人は決して珍しくありません。ライフプランをしっかり立て、家計診断を受けることにより、将来の目標に向けて必要な額の貯蓄ができるようになったり、資産運用に回すお金を捻出できるようになったりするからです。
20代の相談例として、独身OL伊藤さん(仮名)の相談内容をご紹介しましょう。
伊藤さんは働き始めて5年目のOLです。それまで特に赤字になることはありませんでしたが、いつもギリギリの生活であまり貯金ができていないことを気にして相談に来られました。本気で貯金を考えた場合、現在の給料の額であればいくら貯金をするのがベストなのか、今後の生活を考えたうえではいくらくらい貯金が必要なのかということをファイナンシャル・プランナーに相談したいということでした。
家計診断をするために家計簿を見せていただこうとしましたが、きちんとした家計簿はつけていないということだったので、レシートや本人の話などを参考に家計診断を行うことになりました。すると、伊藤さんの1か月の支出は約190,000円。その内訳は、家賃が70,000円、光熱費が10,000円、食費が外食費込みで50,000円、交際費が20,000円、日用品が25,000円、携帯やインターネットにかけるお金が15,000円とのことでした。給与の手取りが200,000円程度ということなので、確かに貯金できる余裕はないようです。
この相談者伊藤さんのお金の使い方の中で一番の問題点は、何と言っても食費の高さでした。あまり自炊をしていないということで、外食が多く、自宅で食事をする場合にもお惣菜やコンビニの利用がほとんどになるそうです。仕事で帰りが遅くなるため毎日自炊は難しいとのことでしたが、同年代の独身女性の食費は外食費込みで平均25,000円ほどであることをお話しすると、かなり驚いて週の半分は自炊、外食も減らしたいと言っていました。そこで、目標は30,000円に設定しました。
また、交際費や日用品も少し高めなのでお聞きしてみると、おしゃれにかけるお金が多いかもしれないという話でした。それぞれ5,000円ずつは節約できそうということだったので、食費と交際費、日用品の節約だけでも30,000円以上余裕が生み出せる計算になりました。
20代の独身者の平均貯蓄額は270~280万円ほどですが、中央値は110~120万円程度。貯蓄が無いと言う人も4割ほどいるというお話をしたうえで、他の人がいくらの貯金をしているかよりも、これから何にいくら必要になるかを考えた方がよいと、ライフプランの立て方について説明しました。
伊藤さんのように、ファイナンシャル・プランナーに相談したことで、ボーナス時だけでなく月々も貯蓄できるようになる人もいます。また、ファイナンシャル・プランナーへの相談をきっかけにライフプランを立ててみると、いつまでにいくら貯める必要があるかがはっきりします。20代の独身者がファイナンシャル・プランナーに相談することは、将来に向けて何にお金が必要になるかを知るきっかけとなり、お金を貯める目的と目標値を明確にするよい機会となります。