今回のご相談者田中さんの家庭診断を行ったうえで、ファイナンシャル・プランナーとして田中さんご家族の将来に必要な金額を算出してみました。まず、2人のお子さんに将来かかる金額ですが、内閣府が行った平成21年度インターネットによる子育て費用に関する調査や文部科学省が行った平成24年度子どもの学習費調査、平成25年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金、国立大学等の授業料その他の費用に関する省令を基に計算すると、全て公立で進んだとしても1人当たり2,400万円ほどかかります。単純に足して2人で4,800万円ですから、もし、この時点で家計の赤字に気が付かず、ファイナンシャル・プランナーに相談や家計診断を依頼していなかったら、将来的に大変なことになっていただろうと考えられます。
また、費用がかかるのは子どもだけではありません。ご相談者ご夫婦の将来もあります。現在の若い世代の場合、定年退職後の老後生活を最低でも20年以上は見ておかなければなりません。年金受給年齢が遅くなる分、収入が無く支出だけがどうしても発生してしまう時期を必ず迎えます。したがって、全ての収入を現在の生活に使ってしまって、何とか赤字を阻止している状態では、将来生活が苦しくなる可能性があるということです。
具体的には、フルタイムとして働く期間が定年60歳として、20歳~60歳の約40年間。ですから、40年/60年として考えると、月々の収入の2/3を現在の生活に回し、残りの1/3を将来に回すことが理想ですが、これをご夫婦2人分で考えると、とてもですが生活が成り立ちません。もちろん、収入の1/3はあくまで理想のため、将来を考えるあまり現在の生活が成り立たないようであれば本末転倒です。何にいくらどのタイミングで必要になるかきちんと目に見える数字で出し、実現可能な目標額を決めることが必要です。
そういった点において、素人目にわからない部分を洗い出し、理想の将来像に近づけるためにも、家計見直しのプロに相談し、改善できる部分を洗い出してもらうことが大事なのです。気軽にできる相談によって、将来が違ってくると言っても過言ではありません。「今はまだいい」と先のばしにしていると、手遅れになることが少なくありませんので、田中さんご家族の場合、ちょうどよいタイミングで家計診断を受けていただけたと思います。
ファイナンシャル・プランナーとして家計診断を行った際お話しするのは、お子さんの将来はもちろん、ご自身の老後も設計にきちんと入れて節約プランを考えましょうということです。ご相談者の多くは、ファイナンシャル・プランナーに相談をし、家計診断を受ける時点ではまだ、理想の将来像を見据えた目標をきちんと掲げていません。ただ漠然と不安を感じて相談に訪れ、ただ何となくこのままではよくなさそうだと感じて、ファイナンシャル・プランナーの家計診断を受けに来られることが多いのです。もちろん、ただ何となくでも不安を感じて、相談を受けていただければ、それによって何らかの改善は望めますが、相談する時期が遅くなると、理想の将来像からどんどん遠ざかってしまいます。そうならないためにも相談はなるべく早く受けていただきたいと思います。