子どもを育てるにはお金がかかります。小さい赤ちゃんを一人前の大人に育て上げるのですから当然と言えば当然でしょう。では、いったいいくらお金がかかるのでしょうか?
先の項目で、ファイナンシャル・プランナーが相談を受け、家計診断を行った一般的な家庭の例で考えてみることにしましょう。子どもの年齢は1歳と4歳の場合。平成21年度に内閣府が行った「インターネットによる子育て費用に関する調査」によると、年間子育て費用の総額は、未就園児で843,225円、保育所・幼稚園児で1,216,547円、小学生で1,153,541円、中学生で1,555,567円でした。特に、これを月額に換算すると、未就園児は約7万円で収まっているのに対し、中学生では約13万円と2倍近くに跳ね上がります。中でも年齢と共に大きく金額が変化するのが食費で、中学生は未就園児の2倍以上と言われています。また、学校教育費と学校外活動費の額が最も多いのも中学時で、両方合わせると年間では約52万円になります。また小学生時には習い事に一番お金がかかるとされています。これらの数字から、中学校の終わりまでにかかる子育て費用をそれぞれの金額に年数をかけ計算してみると、幼稚園を2年保育とした場合でも約1,740万円となります。
中学までは公立学校に進学することを条件として計算しましたが、高校から先は公立か私立か分けて考えてみる必要があります。平成24年度に文部科学省が行った「子どもの学習費調査」によると、高校1年間にかかる学習費は公立では約39万円、私立では97万円と、2倍以上の差があります。更に大学に進むとその差は大きくなります。文部科学省の「平成25年度学生納付金調査結果」や「平成25年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金、国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」によると、初年度の合計納付額は、国立大学で約82万円なのに対して、私立大学は文科系で約115万円、理科系で約150万円、医歯系に至っては約446万円となり、国立大学に進んだ場合の実に5倍の費用が必要になります。
ここで仮に高校生、大学生の生活費を、中学生と同じ食費や生活用品費で計算したとしても年間約45万円、大学卒業までの7年間で約315万円かかります。中学までの総子育て費用が約1,740万円でしたから、高校、大学の学費以外に必要な子育て費用は、22歳までで約2,055万円となります。これに高校、大学の学費を合わせると、高校、大学の学習費は、公立高校→国立大学で約358万円、私立高校→私立理系大学で約808万円となります。ですから、オール公立で進学したとしても約2,413万円、高校から私立、私立理系となると、約2,863万円かかることになり、かなり大きな金額になることが分かりますね。これに下宿代などの費用が必要になると、3,000万円を超えることも考えられます。ですから、漠然と「お金が要る」とだけ考えていたのでは、いざというとき足りなくなってしまいかねません。出来るだけ早い時期にファイナンシャル・プランナーに相談し、家計診断を受けておくことがおすすめです。
ファイナンシャル・プランナーに相談し、家計診断を受けると、家計に潜む無駄を洗い出してもらえるだけでなく、長い目で見たライフプランを立てる必要性に迫られます。先の項目で家計診断を受けた例の相談世帯の場合、子どもの年が1歳と4歳の3歳差です。これは大きくなるにつれて家計を大きく圧迫する可能性の高い年齢差です。と言うのも、進学時期が重なるからです。つまり、大きなお金が必要になる時期が2人分重なるということです。相談世帯だけでなく、実際にこの年齢差の子どもがいる世帯は多く、家計診断を受ける世帯としてもこの年齢差の子どもがいるケースがよく見受けられます。子どもが小さいうちは、あまり家計に圧迫感を感じない世帯であっても、第一子が小学校に入学する頃から少しずつ圧迫感を感じることになりますが、気づくのが遅くなると、第一子が高校入学、第二子が中学校入学という時期にお金が足りないことに気づき、慌てて相談、家計診断を受けると言うケースも少なくありません。それでは十分な資金を捻出したくてもかなり無理しなくてはいけないため、早めに相談し、家計診断を受けておくことがおすすめです。
相談することによってライフプランを意識するようになり、家計診断を受けることで、何にいくら出ていって、いくら貯蓄に回せるのかが把握できるようになります。ご自分でも一度ライフプランを立てて、家計のチェックをしてみることをおすすめします。