ファイナンシャル・プランナーに家計の相談をし、家計診断を依頼する人であっても、20代、30代のうちから老後のことを考えている人は少ないかもしれません。実際に老後のことを考え始めるのは、親の介護を始めたり、年金受給を現実的に考えたりするようになる50代になってからと言う人が多いのではないでしょうか。しかし、今は若い人ほど老後のことを真剣に考えておく必要があります。なぜなら、今後現在よりも年金の受給開始年齢は遅くなり、更に受給できる金額は減ることが予想されているからです。
つまり、若い人ほど、自分で自分の老後のことを考えておかなければ、将来生活できなくなる可能性が高くなるということです。また、定年の年齢と年金受給の開始年齢とのギャップがあるため、どのタイミングでどれだけの蓄えが必要になるか、早めにシミュレーションしておく必要があります。そのためにも、ファイナンシャル・プランナーに家計の相談をし、家計診断を受けておくとよいでしょう。
例えば、一生のうち、フルタイムで働くことのできる期間を20歳から60歳の40年間と仮定すると、男性の平均寿命が約80年であるため、定年退職で仕事を辞めてしまう60歳から、仕事の無い期間が20年ほどになります。もし、年金をあてにすることなく生活していくことにすると、老後の20年分に現在の収入の一部を充当していく必要があると考えられます。単純計算で考えてみても40年/60年と仮定し、収入の2/3を現在の生活に回し、1/3を老後に回すと考えることもできますが、これが夫婦2人分となると、更に金額が大きくなり、さらに困難になると考えられます。したがって、現状を把握し、どの程度老後に回せるかを知るためにも相談や家計診断が必要になってきます。
では、将来必要になる生活費を現在の収入から捻出しなければならないとしたら、どのような方法が考えられるでしょうか?もちろん、ご夫婦だけで相談して考えていく方法もありますが、やはり家計診断のプロであるファイナンシャル・プランナーに相談し、家計診断を受け、将来の生活費に回せる余裕がどこにあるかを見極めてもらうことをおすすめします。夫婦で相談すると、夫の小遣いを削るというような安直な方向に行きがちで、家計診断で提示されるような本当に老後の蓄えとして回せる部分とは違う部分を削りかねません。家計の中身は家庭によって違い、何にいくら必要になるかはそれぞれの生活スタイルによって異なります。また、家庭によって、お金のかかる時期と比較的余裕のある時期も違ってきます。夫婦で相談すると、どんな時期でも老後に回す金額を一定にしてしまいがちで、時期によっては老後資金が家計を圧迫することになります。その点、家計診断をきちんと受けておくと、現段階で老後資金に回せる部分と、将来的に回せる可能性のある部分を提示してもらえます。家計のプロに相談をし、家計診断を受けることで、現在の生活に支障のない形で老後の資金を用意することができるのです。