ファイナンシャル・プランナーとしてご相談を受け、実際に家計診断を行った事例をご紹介します。
「毎月家計が苦しく、このままではいつ破たんするかわからないので、ファイナンシャル・プランナーから、きちんと家計診断を受けるべきだと思って相談をしに来ました。赤字になっているので、家計に問題があることはわかるのですが、どこから手をつけてよいのかわかりません。」とおっしゃるのは田中さん(仮名)ご夫婦です。
「これまで、夫の転勤や出産から始まり、子どもの入学や入園、家族の入院、そして節目節目のお祝い事や冠婚葬祭のおつきあいなど、まとまった出費がかさみ、知らず知らずのうちに貯金を切り崩していました。そして、子どもの送り迎えにどうしても必要になったため、4か月前には車も買い替えました。少額ではありますが、ローンを組んだため、その返済等で赤字になり、焦っています。2年後には、下の子どもも小学校に入学し、これから出費が増えていくことが予想できます。保険料の支払いも辛いところなので、同時に保険の見直しも検討したいところです。」
お名前 | 田中幸一さんご夫婦(仮名) |
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年齢 | 38歳 |
家族構成 | 奥様 パート:35歳 |
長男 小学校1年生:7歳 | |
長女 保育園:5歳 | |
住まいの情報 | 賃貸 |
世帯年収 | 夫420万円(会社員)、妻36万円(パート) |
収入 | |
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手取収入(夫分) | 320,000円 |
手取収入(妻分) | 30,000円 |
◆合計 | 350,000円 |
支出 | ||
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家賃(管理費込み) | 70,000円 | |
食費 | 食費 | 50,000円 |
外食費 | 10,000円 | |
嗜好品代(酒・タバコなど) | 5,000円 | |
光熱費 | 電気代 | 7,000円 |
ガス代 | 10,000円 | |
水道代 | 6,500円 | |
通信費 | 電話料金 | 7,000円 |
携帯電話料 | 15,000円 | |
インターネット使用料 | 1,000円 | |
新聞代・NHK代 | 5,000円 | |
保険 | 国民年金(給与天引き分を除く) | 0円 |
国民健康保険料(給与天引き分を除く) | 0円 | |
任意保険料(生命保険、個人年金等) | 20,000円 | |
車両費 | 駐車場代 | 10,000円 |
ガソリン代 | 6,000円 | |
自動車保険。自動車税、JAF会費等 | 7,000円 | |
レジャー費・交際費 | 10,000円 | |
日用品費 | 6,000円 | |
子ども費 | 50,000円 | |
夫小遣い(趣味含む) | 20,000円 | |
妻小遣い(趣味含む) | 5,000円 | |
定期的な貯蓄(学資保険) | 20,000円 | |
その他(車のローン) | 15,000円 | |
◆合計 | 355,500円 |
実は、ファイナンシャル・プランナーに相談をし、家計診断を受けるご家庭には、田中さんのように、まとまった出費の度に貯金を切り崩し、赤字家計に転落すると言ったケースが多く見受けられます。そして、自動車などローンの支払いをきっかけにその赤字に気づくということが少なくありません。ファイナンシャル・プランナーに相談し、家計診断を受ける最大のメリットは、家計の収支をすべて書き出し、目に見える形にするという点です。
実際にファイナンシャル・プランナーとしてご相談者の家計診断をすると、家計簿をつけていない家庭だけでなく、家計簿をつけているにもかかわらず収支がわかっていないご家庭が多いことがよくあります。
相談を受け、内訳を記入していただいたら、その項目から、個々のご家庭の方針や価値観を読み取り整理します。ご相談者はそれぞれ価値観が異なり、こちらが削れる項目だと判断しても、ご相談者にとっては譲れない、けずりたくない項目であることも多々あります。例えば、車のローンが圧迫しているから、カ―シェアリングがよいだろうと考えたとしても、ご相談者が趣味で車を保有している場合や、車を使わなければ生活に支障がある場合には車のローンで支出を減らすことは難しいです。今回のご相談者田中さんご家族の場合も、お子さんの送迎に必要と言うことで車を購入したところから、車は保有する必要があると見た方がよい事例です。この場合、他の項目で節約を考えなければなりません。